男性は、若い時はスマートだったのに中年に差し掛かるとお腹が出てきますよね。
一般的によく言われている原因は、食べ過ぎと運動不足です。あと、加齢に伴って代謝が悪くなるから脂肪が蓄積すると聞くこともあります。
食べ過ぎている感じでもないし、運動量も若い時からそんなに変わっていないのに中年になるとお腹が出てくるのは、代謝が悪くなるからなのでしょうか?
お腹だけが太る
町中で中高年の男性を見ていると、腕や脚はそんなに太くないのにお腹だけが前にポッコリ出ている人が多いように感じます。中には、腕や足も太くてお腹が出ている男性もいます。いわゆる恰幅が良い方ですね。
普通に考えれば、太るというのはお腹だけでなく足や腕も太くなることなので、恰幅の良い男性だけが太っているとなりそうです。でも、多くの中高年男性は、お腹以外は標準体型です。ただ、お腹だけが前に反りだしているのです。
お腹がポッコリと前に出ている男性は、米、パン、麺類を食べるのを控える糖質制限をすればお腹をへこませれます。糖質を摂取すると、インスリンが分泌されて糖質を脂肪に変えて体に貯めこむから、糖質摂取をやめれば脂肪がつきにくくなるわけです。
でも、糖質制限でお腹の脂肪が減るのは、インスリンがたくさん分泌されないからだけではない気がします。
ビタミンB群不足でクエン酸回路が回らない
体に溜まった脂肪が減るのは、脂肪をエネルギー利用しているからです。
人間は、糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素からアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギーを作り出します。このATPをたくさん作り出しているのがミトコンドリアです。ミトコンドリアは、三大栄養素から作られたアセチルCoA(コーエー)を主原料にしてクエン酸回路を回し、ATPを生み出します。
ミトコンドリアがクエン酸回路を回すためには、全8種類のビタミンB群のうちビタミンB1、B2、ナイアシン、B12、葉酸、パントテン酸の6種類を必要とします。さらに糖質、脂質、タンパク質をアセチルCoAに加工するためにも、以下に示すようにたくさんの種類のビタミンB群を消費します。
- 糖質:B1、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン
- 脂質:B2、ナイアシン、パントテン酸
- タンパク質:B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸
つまり、ATPの主原料となる糖質、脂質、タンパク質を摂取していても、全8種類のビタミンB群を十分に摂取していなければクエン酸回路を回せないのです。
中高年男性はビタミンB群不足か?
お腹がポッコリと出ている中高年男性は、食べ過ぎや運動不足だけでなくビタミンB群が不足していてクエン酸回路が回せなくなっているのではないでしょうか?
これは、加齢に伴う代謝不良と同義のような気がします。
ビタミンB群不足が、お腹ポッコリの原因だとすると、なぜ中高年男性はビタミンB群が不足するのでしょうか?その理由は、米、パン、麺類を食べているからでしょう。
三大栄養素からのカロリー摂取は糖質を6割、脂質とタンパク質を2割ずつとされています。しかし、この割合でカロリーを摂取していると、間違いなくビタミンB群が不足します。下の記事で、ご飯、卵、牛肉、豚肉、鶏肉のビタミンとミネラルの含有量をまとめた表を掲載していますが、ご飯のビタミンB群含有量は、他の食品と比較して極めて少ないです。
だから、炭水化物中心食だと以下のような悪循環が起こるのかもしれません。
- ビタミンB群の摂取量が少ないからクエン酸回路が回せない
- そして、エネルギー不足に陥り何かを食べてビタミンB群を補給
- 同時に不要な三大栄養素まで食べてしまう
- エネルギー需要を超えて食べた三大栄養素は脂肪として蓄積
ビタミンB群をしっかり摂取するには、肉、卵、魚などの動物性食品中心の食事に切り替えないと難しいです。言い方を変えると、米、パン、麺類のように炭水化物が多く含まれている食品を食べている余裕なんてないのです。
特にビタミンB群が豊富に含まれているのはレバーです。なので、お腹が出ている中高年男性は1週間に1回くらいレバーを食べてビタミンB群をしっかりと補給した方が良いでしょう。
ビタミンB群のサプリメントも検討する
長年、炭水化物中心の食事をしてきた人だと、慢性的にビタミンB群が不足しているかもしれません。
ビタミンB群は、皮膚や粘膜の健康維持にも欠かせない栄養素です。だから、肌あれや皮膚の乾燥、口角炎、口内炎、皮膚炎、粘膜疾患などがよく起こる場合には、ビタミンB群が足りていない可能性があります。当然、ビタミンB群不足でクエン酸回路も回せなくなるので、お腹がポッコリと出てきます。
私は、この1年くらいの間、ビタミンB群のサプリメントを継続して服用しています。以前は、髭を剃ると肌が荒れたり赤くなることもありましたし、朝起きた時に顔から粉を吹くこともありました。
でも、レバーを食べた翌朝は肌の調子が良かったので、レバーの栄養価を調べてみると、ビタミンB群が豊富に含まれていることに気づきました。他にもビタミンA、亜鉛、鉄もレバーには豊富に含まれていて、これらも皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない栄養素だとわかりました。
レバーは1年半くらいの間、1週間に200グラムほど食べています。ビタミンB群のサプリメントも併用しているおかげか、今は肌の調子が良いです。髭を剃っても肌がひりひりしませんし炎症を起こすこともありません。顔から粉も吹きませんね。
試したビタミンB群のサプリメントはDHCのものです。ドラッグストアで60日分が400円前後で買えます。最近は、小林製薬のビタミンB群のサプリメントを試しています。こちらは60日分が600円ほどします。DHCの方が全体的に各成分の含有量が多いです。ただ、ビオチンは小林製薬の方が含有量が多くなっています。私が試した感じでは、どちらも大きな差はなさそうですね。
男性は亜鉛が不足しやすい
あと、男性は亜鉛も不足しやすいです。亜鉛は牛肉やレバーに多く含まれていますが、長年、炭水化物中心の食事をしてきた中高年男性だと体内の亜鉛量が大幅に減っている可能性があります。通常、亜鉛は体内に2グラムほどあるのですが、50代になると10代や20代の人との比較で1割から2割ほどになっているそうです。
亜鉛は、体内で多くの酵素を助ける働きをし、また、細胞分裂にも欠かせないミネラルですから積極的に摂取した方が良いでしょう。
私は1年半ほど亜鉛のサプリメントを試しています。肌の調子を見た感じだと、以前は亜鉛が不足していたのだろうと思いますね。ビタミンB群とともに摂取しておくと良いでしょう。使っている亜鉛のサプリメントは、ディアナチュラとネイチャーメイドのものです。ディアナチュラは1粒14mg、ネイチャーメイドは1粒10mgの亜鉛含有量です。
長期間、肉や卵を控えめにしてきた人であれば、もっと亜鉛を摂取した方が良いでしょう。ちなみに30代から60代までの男性は、亜鉛の1日の耐容上限量が45mgです。亜鉛は1日に10mg消費すると言われており、また、食事での亜鉛吸収率が30%程度とされているので、耐容上限量近くまで亜鉛を摂取しないと不足分を補うのは難しいでしょうね。
鉄もエネルギー産生に必要
ATP産生には、ビタミンB群の他に酸素も必要です。酸素は赤血球によって体の隅々に運ばれますが、赤血球の構成成分である鉄が不足すると細胞への酸素供給が不足し、うまくエネルギーを作り出せなくなります。鉄も亜鉛と同じように肉類に多く含まれていますから、長期間、肉類を控えてきた人は、鉄も不足しているでしょう。
特に玄米を食べている場合には、鉄が不足しやすいです。玄米には、ミネラルの吸収を阻害するフィチン酸が多く含まれているため、他の食品から鉄を摂取していても玄米と一緒に食べていると鉄が不足してしまうのです。
鏡の前でアッカンベーをして、瞼の裏が白いと鉄不足です。舌くらい赤ければ鉄は足りています。爪のように薄いピンク色だと鉄不足かもしれませんね。また、顎に大人ニキビができやすい人も鉄不足が疑われますし、氷をバリバリと食べたくなる場合も鉄が足りていない可能性があります。
私は、瞼の裏は赤いですが以前よりも薄くなっているような気がします。なので、5ヶ月ほど鉄のサプリメントを試しています。DHCのヘム鉄(1日目安10mg)を服用していますが、鉄が不足している人だともっと多く摂取する必要があるでしょうね。
なお、亜鉛と鉄は、ビタミンCやクエン酸と同時摂取すると吸収率が高まります。
とりあえず、中年と呼ばれる年代に差し掛かった男性は、糖質制限をして肉、卵、魚をたくさん食べれば、ポッコリお腹をスッキリさせれます。ビタミンB群、亜鉛、鉄をこれらの食品からしっかりと補給して、三大栄養素を効率的にエネルギーに変えていきましょう。