ビタミンB₂は脂質代謝に大切

ダイエットで痩せるためには、体に蓄えた中性脂肪を減らす必要があります。

中性脂肪を減らすためには、運動をするとか、食事制限をするとか、いろいろなことが言われていますが、栄養の視点で見ると、ビタミンB₂の摂取が重要となります。

どのようなダイエット法を採用したとしても、中性脂肪を減らすにはビタミンB₂は欠かせませんから、不足しないように摂取したいですね。

体内ではFMNやFADとして存在

ビタミンB₂は、リボフラビンとも呼ばれ、生体内では、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)として存在します。

FMNもFADも、フラビン酵素の補酵素として働き、酸化還元反応を触媒しています。ちなみに触媒は、反応速度を速める働きのことです。

また、酸化還元反応は、電子の受け渡しのことで、我々の体がエネルギーを作り出すために行われている反応です。特にFADは、電子を失った酸化型のFAD⁺、電子を受け取ったFADH₂が酸化還元反応に関わっています。

中性脂肪からアセチルCoAへ

体に蓄えた中性脂肪は、1つのグリセロールと3つの脂肪酸がくっついた物質です。

中性脂肪をエネルギー利用するためには、まず、ホルモン感受性リパーゼの働きにより、中性脂肪が、グリセロールと脂肪酸に分解されなければなりません。

脂肪酸は、血中に放り込まれるとアルブミンと結合して遊離脂肪酸となり、各組織に運ばれていきます。そして、脂肪酸を受け取った組織では、細胞質内で脂肪酸をアシルCoA(コーエー)にします。

アシルCoAは、カルニチンの助けを借り、細胞内にあるミトコンドリアに運ばれます。

そして、ミトコンドリアでは、アシルCoAをβ酸化によりアセチルCoAに加工します。

このアセチルCoAが、オキサロ酢酸とくっついてクエン酸となり、ミトコンドリアでクエン酸回路を回して、脂肪酸が持っていたエネルギーをアデノシン三リン酸(ATP)という形で保存し、体の様々な反応に使うわけですね。

ビタミンB₂はβ酸化に必要

上のβ酸化の過程でビタミンB₂(FAD)が必要となります。

また、クエン酸回路を回すためにもFADは働きます。

もしも、ビタミンB₂が不足していれば脂肪酸のβ酸化がうまくできなくなります。また、クエン酸回路も回らなくなります。そうすると、体に蓄えた中性脂肪がエネルギーに変わらなくなりますから、運動や食事制限をしても中性脂肪がなかなか減りません。

だから、日ごろからビタミンB₂をしっかりと摂取しておきたいですね。

ビタミンB₂の1日の推奨量は成人男性で1.6mg、成人女性で1.2mgです。

ビタミンB₂は、卵1個60グラム当たりで0.26mg含まれていますから、3個食べれば0.78mgの補給が可能です。また、肉類には、100グラム当たりで0.1mg超のビタミンB₂が含まれています。動物性食品を中心とした食事をしていれば、推奨量の補給は可能ですね。

あと、納豆にも、40グラムあたり0.22mgのビタミンB₂が含まれています。

ビタミンB₂が最も多く含まれいるのがレバーです。豚でも牛でも鶏でも、100グラム食べれば、余裕で推奨量を補給できます。ただし、レバーにはビタミンAが多く含まれており、毎日食べるとビタミンAの過剰症となります。なので、レバーは2週間に100グラム程度にしておいた方が良いでしょう。

ビタミンB₂の欠乏症と過剰症

ビタミンB₂の欠乏症には以下のものがあります。

  • 口内炎
  • 口角炎
  • 脂漏性皮膚炎
  • 脱毛症などの皮膚粘膜疾患
  • 成長障害

やたらと口内炎や口角炎ができる人は、ビタミンB₂が不足しているかもしれませんね。ちなみに私も以前はよく口内炎ができましたが、糖質制限をしたらできなくなりました。肉や卵を多く食べるようになってビタミンB₂が補給できたこともあるでしょうが、糖質が口内炎の原因となる細菌の働きを助けていたのかもしれません。歯磨き粉を使わないようにしたことも口内炎ができにくくなった理由と思います。

なお、ビタミンB₂の過剰症については報告されていません。

その他のビタミンB₂の働き

ビタミンB₂には、他にアラニンからピルビン酸を合成したり、グルタミン酸からα-ケトグルタル酸を合成したりする働きもあります。アラニンもグルタミン酸も、タンパク質が分解されてできるアミノ酸の一種です。

ピルビン酸はアセチルCoAになってオキサロ酢酸とくっつきクエン酸回路に入りますし、グルタミン酸もα-ケトグルタル酸になってクエン酸回路に入りますから、ビタミンB₂はタンパク質の代謝にも関わっています。ビタミンB₂は、細胞の合成を促進することから、発育のビタミンとも呼ばれていますね。

また、活性酸素を除去するためのグルタチオンペルオキシダーゼの補酵素してビタミンB₂は働いて、過剰な過酸化脂質の生成を防ぐ抗酸化作用も発揮します。

脂質代謝に欠かせないビタミンB₂は、ダイエット中の方が積極的に摂りたい栄養素です。

ダイエット中は動物性食品を控えたくなりますが、ビタミンB₂は動物性食品に多く含まれている傾向があるので、むしろ積極的に食べるべきです。

体に脂肪が付く原因は糖質摂取ですから、米や小麦を控えるのが正解です。

参考文献