新型コロナウィルスの感染拡大が止まらないということで、2021年1月7日に関東の4都府県に緊急事態宣言が発令されました。そして、翌週の1月13日には近畿などの7府県にも緊急事態宣言が発令されました。
緊急事態宣言の内容は、簡単に言うと、「あまり出歩くな」ということ。飲食店やカラオケ店などには、午後8時までの時短営業が要請されています。
緊急事態宣言で、新型コロナウィルスの感染がどのように変化するのか気になるところです。今回は二度目の緊急事態宣言ですが、2020年春の時のように全国一斉ではないので、緊急事態宣言が出ていない地域と感染傾向を比較しやすくなっています。前回は、緊急事態宣言の効果で感染者が減ったのか、暖かくなって感染者が減ったのか、よくわからなかったですからね。
さて、このブログでは、2021年1月13日以降の大阪府の新型コロナウィルスの感染状況を追いかけて行こうかと思っています。面倒になったら、やめるかもしれませんけどね。
年末から緊急事態宣言発令までの経路別の陽性者の状況
新型コロナウィルスの感染拡大の原因として槍玉に挙げられているのが飲食店です。
では、大阪府の飲食店で、いったいどの程度、陽性者が出ているのかを確認しましょう。期間は、2020年12月29日から2021年1月13日までです。年末年始に飲食店を利用する人が多かったと想像されますから、きっと緊急事態宣言が出るまでの飲食店での陽性者も多かったのではないかと考えられます。
下の表は、大阪府のウェブサイトの「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況について」のページにあるExcelファイルをダウンロードして作ったものです。記事内の他のデータも、同ページからダウンロードしたExcelファイルから得たものです。
上の表を見ると、2020年12月29日から2021年1月13日までの期間で、陽性者の増加率が最も高いのは、飲食店の135.0%です。
でも、陽性者数で見た場合、飲食店の増加数は54人しかいません。それよりも、医療機関の331人、施設の314人の方が、飲食店より約6倍も多くなっています。ちなみに施設には、高齢者施設や障がい者施設が含まれており、そのほとんどが高齢者施設です。
また、「他」には、企業、学校、カラオケ店などが含まれており、こちらは89人の増加です。
他府県クラスター関連は、総数でわずか13人、2週間ほどの間でも2人しか増えていません。
最も多いのが、感染経路不明とその濃厚接触者等で、両方合わせると5,673人の増加と、他の項目と比較して圧倒的に多くなっています。
飲食店が、感染を拡大させていると言われていますが、飲食店を利用した人が、大阪府内を歩き回って次々と感染者を増やしていったのでしょうか?最も多いのが感染経路不明とその濃厚接触者ですが、これらは、飲食店で食事をした人に新型コロナウィルスを移された可能性が高いのでしょうか?
年代別の陽性者の状況
1月13日から1月15日まで、年代別に陽性者の増加傾向を見ると、20代が最も多い241人の増加です。
30代から50代も多めで、135人~168人の増加となっています。
テレビでは、若者が感染を広げていると言われており、陽性者の増加数を見ても、そのような傾向があるように思えます。
でも、上の表を見ると、70代の114人の増加も、それなりに多い数字です。60代も98人、80代も91人の増加です。
20代から50代までは、仕事をしていますから外出の機会が多くなります。60代前半の方も、まだ現役で働いている人が多そうです。だから、これらの年代で陽性者が増加するのは、よくわかります。
では、70代や80代での陽性者の増加は、何が原因でしょうか?
まず、高齢者施設での感染が考えられますね。通院されている方も多いでしょうから、医療機関での感染もあるでしょう。でも、それらを考慮しても、70代や80代の陽性者数の増加は多いように思えます。
ひょっとして、不要不急の外出をしているのは高齢者なんじゃないですか?
一般に若者から高齢者にウィルスを移していると言われていますが、高齢者から若者にウィルスを移している可能性も考えられますよね。
死亡者の状況
1月13日から15日までの新型コロナウィルスに感染して死亡したと考えられるのは36人です。
その内訳を割合で示すと、以下のようになります。
全て60代以上。
そして、70代以上が94.4%を占めています。
高齢者ほど重症化しやすく命の危険があると言われている通りの結果です。
人の移動が感染の主要因であれば、重症化しやすい高齢者こそ保護しなければなりません。でも、高齢者が不要不急の外出をしていたのでは、保護したくても保護のしようがありません。
また、医療機関や施設での感染の方が、飲食店での感染よりも圧倒的に多いのですから、何らかの対策をしなければならないのは医療機関と施設です。しかも、医療機関と施設には、多くの高齢者がいるのですから、感染リスクに加えて重症化リスクも高いです。
ちなみに1月13日から15日までで、飲食店、他、他府県クラスター関連での陽性者は1人も発生していません。以前から、商業施設での陽性者の発生数は少ないので、医療機関や施設と比較すると、感染対策がよくできていると言えそうです。
もちろん、医療機関には、コロナ感染者が入院していることもありますから、商業施設と比較して感染リスクは高めなのはわかります。だからと言って、医療機関の対策を強化せず、飲食店を感染源だと悪者扱いするのはいかがなものでしょうか?
医療崩壊よりも保健所崩壊が早い
新型コロナウィルスの感染拡大で、医療崩壊が起こると言われています。
でも、感染者を受け入れている病院は、ほんの一握りなので、医療崩壊が起こるとは思えません。
それよりも保健所崩壊の方が早いでしょう。
テレビを見ていると、大阪府の保健所で働いている方が、1ヶ月に100時間以上も残業をしているとおっしゃっていました。休日もほとんど取れず、働きっぱなしの状況だそうです。
少数の病院で全ての感染者を治療し、保健所職員が全ての検査をしている状況を解消することが、何よりも重要でしょう。新型コロナウィルスを指定感染症にしている限り、一部の病院と保健所職員に負担がかかり続けるだけです。コロナが指定感染症でなければ、医療崩壊も保健所崩壊も起こらないのではないですか?
コロナの指定感染症の期限は2021年1月31日まででしたが、厚生労働省が2020年12月17日に1年間の延長を決定しています。
これ、取り消せないんですかね?