2月7日で、11都府県に出されていた緊急事態宣言が解除となる予定でしたが、栃木県を除く10都府県で3月7日まで延長されることが決定しました。
感染拡大が収まってくれば、3月7日を待たずに緊急事態宣言を解除するとのことです。すでに大阪府では感染拡大のピークを過ぎたどころか完全に収まったと言える状況まで感染者が減少しています。それなのに緊急事態宣言が延長されたのですから、3月7日までの解除はないかもしれませんね。
感染が拡大し始めた時には、すぐに緊急事態宣言を出せと言うのに、感染拡大が収まり始めた時には、まだ油断できないと言って緊急事態宣言を延長するのは、どうなんでしょうね。
陽性者の増加数
1月13日から2月5日までの陽性者の増加数を確認していきましょう。なお、データは、大阪府の「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況について」のページから取得しています。
まずは、感染経路別の陽性者の増加数です。
いつものことながら、飲食店では陽性者が全く出ていません。飲食店が感染源になっていると、まだテレビでは報じられていますが、大阪府に限って言えば、飲食店から感染が広がっているとは言えませんね。
医療機関と施設では、安定して陽性者が出ています。テレビでも、ようやく医療機関と施設でのクラスター(集団感染)に言及するようになってきました。これらでクラスターが発生するのは、無症状の感染者が不用意に出歩いてコロナウィルスを拡散させ、医療機関や施設内に入ってくるからだと言われています。この主張は嘘くさいですね。
後ほどグラフを紹介しますが、感染経路不明者が順調に減少しているのに医療機関と施設での陽性者数が減らないのは、他に理由があると考えるべきでしょう。
下は、年代別の陽性者の増加数です。
この表は、累計で示しているので、陽性者数が減ることはありません。とはいえ、日々、陽性者が減少しているので、累計の人数の増加スピードは遅くなっています。
1月13日から2月5日までの陽性者の推移をグラフで確認しましょう。
最も陽性者が多かったのは、1月16日の629人です。それが、2月5日には、209人まで減っています。ピークから3分の1以下にまで陽性者が減っているのですから、緊急事態宣言の延長は必要なかったでしょう。
近畿地方は、2月8日と9日に気温が下がりますが、14日までは比較的暖かい日が続きます。体調を崩す人が少なそうですから、順調に陽性者が減ることが期待されます。1日の陽性者が100人を下回る日が出てきそうですね。
こちらは、1月13日から2月5日までの検査数の推移です。
検査数には波がありますが、1月13日から2月5日まで減っている様子はありません。検査数が一定で陽性者数が減少していますから、陽性率は下がっています。2月5日の1週間平均の陽性率は4.5%と、1月13日の1週間平均9.0%の半分にまで下がりました。2月5日だけで見ると、陽性率は3.9%です。
高齢者の感染予防に全集中するべき
次に陽性者の推移をグラフで確認しましょう。
こちらは、経路別の陽性者の推移です。
最も多い緑色の感染経路不明は急速に減っています。それに連れて紺色の感染経路不明者の濃厚接触者等の数も減っています。
一方で、ほとんど変化がないのが、オレンジ色の医療機関と灰色の施設の陽性者です。減って来たかなと思ったら一気に増えることがあります。どちらも、クラスターが発生しているのでしょうね。
年代別の陽性者の推移も見ておきましょう。青色は60代以上、オレンジ色は30~50代、灰色は20代以下です。
1月13日は、30~50代が最も多く、60代以上が最も少ない状況でした。
それが、2月5日の時点では、全ての世代で、ほぼ同じ程度の陽性者の数になっています。20代以下の減少が急激ですね。一方で、60代以上の陽性者の減少スピードは緩やかです。
感染経路不明には、20代が多く含まれているものの、その他の世代も満遍なく含まれていると思われます。一方、医療機関と施設での陽性者の多くは60代以上と推測されます。60代以上の陽性者の減少幅が小さいのは、医療機関と施設での陽性者が減らないことが原因と考えられます。
人の移動を制限する緊急事態宣言の発出では、高齢者や持病がある方の感染を食い止めるのは難しいでしょう。
下は、1月13日から2月5日までの年代別の陽性者の累計をグラフにしたものです。
茶色の20代が突出していますが、徐々に20代の陽性者の数が減ってきているので、今後は、他の世代との差は広がりにくいでしょう。
死亡者の平均年齢は83歳くらい
1月13日から2月5日までの新型コロナウィルスの感染が原因とされる死亡者は、大阪府では287人です。
死亡者の93.3%が70代以上です。なお、40代が1名、50代が6名、60代が12名の死亡者数です。
大阪府が公表しているデータでは、70代、80代といった記載になっているので、死亡者の正確な年齢はわかりません。各年代とも、真ん中あたり、すなわち、70代なら75歳前後、80代なら85歳前後とみなして死亡者の平均年齢を計算してみたところ、83.0歳になりました。
2019年の平均寿命が、女性は87.45歳、男性は81.41歳ですから、新型コロナウィルスでの死亡者の多くが、平均寿命近くで亡くなっていることになります。
死亡者287人のうち260人が新型コロナ関連死亡です。そして、新型コロナ関連死亡のうち基礎疾患があった方は173人いらっしゃいました。
大阪府では、2月以降、新型コロナウィルスの感染者は減少し続けるでしょう。感染拡大は収まったと考えられます。犠牲者を減らすためには、医療機関と施設での感染予防が最も重要ですから、早期の対策をお願いしたいです。メディアも、飲食店と若者を悪者にするのはやめて欲しいですね。