いろいろ出てくるダイエット記事。三大栄養素の呪縛から解放されていないダイエット法はどれも効果が怪しい。

インターネットで、ダイエット情報を探していると、ニュースサイトのダイエット特集記事にたどり着くことがよくあります。

新たなダイエット法が出てきてはすぐに消えていくのは、今も昔も同じですね。「根本的なことがわかっとらんのだよ」と言いたくなりますが、そのダイエット記事を読んで体重を落とすのに成功した人もいるわけですから、まったく無意味とは言えません。

多くのダイエットネタが、摂取カロリーや消費カロリーに着目したものなので、新たに出てきたダイエット法を試すまでもなく、食べないか、運動するか、両方を同時に行うかの3択でしかありません。

三大栄養素の呪縛

摂取カロリーを減らす。つまり、食べる量を減らすことは、体重減少に最も効果的な手段であることは誰でもすぐに思いつきます。

絶食し続ければ、いずれ、骨と皮だけになってしまうことは容易に想像できます。だから、今よりも食べる量を減らせば、体重を落とせると考えるわけですが、しかし、餓死するほど食事量を減らすことはできません。

そのため、ダイエットをするときには、食事量を一定以下に減らさないことを心掛ける必要があります。

1日の総消費カロリーが、例えば、2,000kcalだったとします。この場合、1日の総摂取カロリーを2,000kcal未満にすれば、理屈の上では、体重が減っていくことになります。ここで、どの食品をどれだけ減らせばよいのかが問題となります。

カロリー計算の対象となるのは、糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素です。それぞれの1グラム当たりのカロリーは以下の通りだとされています。

  • 糖質=4kcal
  • 脂質=9kcal
  • タンパク質=4kcal

さらに糖質、脂質、タンパク質は、好ましい摂取割合があるとされており、総摂取カロリーに対して、以下の割合が推奨されています。

  • 糖質=60%
  • 脂質=20%
  • タンパク質=20%

現在の総摂取カロリーが2,000kcalだった場合、糖質、脂質、タンパク質の1日の摂取カロリーと摂取量は以下の通りです。

  • 糖質=1,200kcal、300グラム
  • 脂質=400kcal、44グラム
  • タンパク質=400kcal、100グラム

ここで、毎日の総摂取カロリーを10%減らした1,800kcalに設定すると、糖質、脂質、タンパク質の摂取カロリーと摂取量は以下のように変化します。

  • 糖質=1,080kcal、270グラム
  • 脂質=360kcal、40グラム
  • タンパク質=360kcal、90グラム

このように1日の総摂取カロリーを減らす場合でも、糖質、脂質、タンパク質の摂取割合は変化させないのが、ダイエットの暗黙の前提となっています。強いて言えば、1グラム当たりのカロリーが多い脂質を優先的に減らす考え方もありますが、これは、現在の脂質の摂取割合が高い場合です。最終的には、糖質、脂質、タンパク質の摂取割合が、60%、20%、20%になるようにコントロールするのが、健康的なダイエットの方法だとされています。

私は、これを三大栄養素の呪縛と勝手に名付けました。

食べたものが脂肪として溜め込まれるのが問題

三大栄養素の呪縛に取りつかれている人は、三大栄養素のどれか1つが多くなったり少なくなったりすることに抵抗を感じます。

食べる量を減らすなら、糖質、脂質、タンパク質の割合を60%、20%、20%になるように調整しないといけないと思い込んでいます。これが、そもそもの過ちです。

肥満は、体重が重たいということよりも、身体に脂肪が蓄積していることが問題なのですから、いかにして脂肪を減らすかを考える必要があります。見た目にも、脂肪が多いと腰回りが太く見えますから、脂肪を優先的に減らすダイエット法を採用した方が、痩せた後の満足度が高いです。

我々の身体に脂肪が蓄えられるのは、食べ物を食べた時にすい臓からインスリンが多量に分泌されるからです。インスリンは食べたものを脂肪に変えて身体に蓄積する働きがあるので、ダイエットをしたいのなら、まずインスリンの分泌量を抑える食事をしなければなりません。

三大栄養素の中で、インスリンを分泌させるのは、糖質とタンパク質です。特に糖質を摂取した時に多くのインスリンが分泌されますから、身体への脂肪蓄積を抑えたいなら、食事から糖質を優先的に減らすべきです。糖質制限ダイエットが肥満解消に効果的なのは、これが理由です。

したがって、ダイエットで肥満を解消したいと思うなら、まず、今現在の食事から糖質を減らすことが重要です。もしも、自分は食べすぎだとの自覚があるのなら、普段の食事から、米、パン、麺類、砂糖、果物を抜くだけで構いません。

しかし、そんなに食べていないのに太る方場合には、食事から糖質だけを抜くと、食事量が極端に少なくなりますから、抜いた糖質と同じくらいの量の食事を追加しましょう。その場合には、卵、魚の切り身、肉など、動物性食品を選択するのがおすすめです。やってはいけないのは、野菜を多く食べることです。糖質の代わりに野菜をたくさん食べたところで、エネルギー不足に陥るだけです。ダイエット中でも、必要な栄養素をしっかり補給するためにも、動物性食品を多く食べるべきです。

三大栄養素のの1つである糖質を抜くことは、健康に良くないと主張する人がいますが、その人は、三大栄養素の語源を知らない人や糖質が必須の栄養素ではないことを知らない人です。

糖質を摂らなければ生きていけないことはありません。安心して糖質制限ダイエットをしてください。

京都高雄病院の江部康二先生は、スーパー、スタンダード、プチの3種類の糖質制限を提唱されています。スーパー糖質制限は、1日3食のすべてで主食(米、パン、麺類)を抜くものです。スタンダード糖質制限は、3食のうち2食で主食を抜きます。プチ糖質制限は、3食のうち1食だけ主食を抜きます。

ダイエット効果が最も期待できるのは、もちろんスーパー糖質制限です。最初からスーパー糖質制限をするのはきついと思う方は、スタンダード糖質制限やプチ糖質制限から試すと良いでしょう。

平日の昼食は、外食になることが多く、ランチで糖質制限をするのは難しいですから、まずは昼食だけは主食を食べ、朝食と夕食を主食抜きにする糖質制限がやりやすいですね。