朝はエネルギー不足だから、しっかり食べなければならないという考え方については、以前から疑問に思っています。
仮に朝食を食べないとエネルギー不足になるというのが事実だったとしても、朝に糖質を摂取しなければならないという言説にはどうしても納得できないんですよね。
どこにエネルギーを補充するのか
まず、朝にエネルギー補給のために糖質を食べなければならないと言うのであれば、身体のどこがエネルギー不足になっているのかを教えてもらわないと困るのですが、そういった視点で説明する人を見ることはありません。
昔からブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源だから、夕食後10時間くらい経過した朝には脳がエネルギー不足になっていると言われてきました。
しかし、現在は、脳はケトン体も利用できるので、ブドウ糖が唯一のエネルギー源ではないことは否定されています。また、糖質を摂取しない時間が長く続くと、脳は、ブドウ糖よりも多くのケトン体をエネルギー利用するようになっています。
糖質を摂取しない時間が長くなると、ブドウ糖の利用割合が下がるのは当たり前だろうと思うでしょう。でも、身体では、糖新生が行われているので、ブドウ糖が不足することはまず考えられません。
また、筋肉は、ブドウ糖をグリコーゲンにして蓄え、激しい運動をすると消費し、グリコーゲン量が減少しますが、こちらも、無酸素運動をしてできた乳酸がコリ回路を経由して再びブドウ糖に戻りますから、しばらく運動しなければ筋肉にグリコーゲンが蓄えられていきます。
このように見ていくと、朝にブドウ糖が不足しているところは通常はないと考えられます。
エネルギー補給がブドウ糖である必要はない
仮に1日のエネルギー補給に適している時間帯が朝だったとしても、糖質を優先的に摂る必要はありません。人体は、脂肪酸もエネルギー利用できます。
また、糖質をたくさん食べたところで、中性脂肪になって身体に蓄えられるだけですから、摂取した糖質(ブドウ糖)をそのままエネルギー利用できるわけではありません。
もちろん、筋肉のグリコーゲンが減っている状況での糖質摂取は、グリコーゲンの回復に使われますが、起床時は運動から長時間経過しているので、糖質を摂取しなくてもグリコーゲンはすでに回復しています。そのような状況での糖質摂取は、中性脂肪を増やすだけです。
それなら、朝に摂取するのは、脂質でも構いませんよね。あえて糖質である必要はありません。
1日を通して、糖質を摂取する必要性は見当たりませんが、もしも、糖質を摂取するのであれば、激しい運動で筋肉のグリコーゲンを消費した後にすべきでしょうね。