理論武装しておけばダイエット商品は買わなくなる

巷にはダイエット商品が溢れかえっていますが、今までダイエット商品を買ったことはほとんどありません。買った商品の中には、ダイエットにも効果的と言われているものは含まれていますが、ダイエットを目的に商品を買ったことはないですね。

そもそも太っていないから、ダイエット商品を必要としないということもありますが、体の中でどうやってエネルギーが作られたり、ぜい肉がついたりするのか、それらの仕組みを勉強したから、おかしなダイエット商品に騙されなくなっているという点が大きな理由です。

まずエネルギーが作られる仕組みを知る

無駄にダイエット商品を買わないためには、しっかり理論武装することが大切です。

そして、まず最初に知っておかなければならないのは、どうやって我々の体の中でエネルギーが作られているのかということです。人体が必要とするエネルギーは、アデノシン三リン酸(ATP)という電池のようなものに蓄えられた後、体の様々な活動のために消費されます。

ATPが作られる過程を知っておけば、「このサプリを飲めば脂肪や糖が燃焼する」とかいった宣伝文句に騙されなくなります。

ATPを体内で作る材料となるのは、主に糖質、脂質、タンパク質です。

糖質(ブドウ糖)は、細胞内の解糖系を通った後にピルビン酸となり、ミトコンドリアのクエン酸回路に入りそこから取り出された電子が電子伝達系に運ばれてATPが作られます。

脂質(脂肪酸)は、ミトコンドリアでβ酸化をされた後にアセチルCoA(コーエー)となってクエン酸回路に入り、糖質と同じように取り出された電子が電子伝達系に運ばれATPが作られます。

タンパク質(アミノ酸)は、クエン酸回路にそのまま入ったり、アセチルCoAに変化してからクエン酸回路に入ったりして、取り出された電子が電子伝達系に運ばれATPが作られます。

これらの反応の中で、脂肪や糖が燃焼するといったことは起こっていません。脂肪や糖が燃焼して痩せるという説明しかできていない時点で、そのダイエット商品は怪しいですね。

脂肪が溜まる仕組みを知る

糖質、脂質、タンパク質からエネルギーを作る反応とともに押さえておかなければならないのが、これらが中性脂肪となって体に蓄えられる仕組みです。

エネルギーを作るのも中性脂肪を蓄えるのも、ミトコンドリアのクエン酸回路が深くかかわっています。

糖質からエネルギーを作る場合、解糖系で合成されたピルビン酸は、ミトコンドリアのクエン酸回路に運ばれてクエン酸になります。この時、エネルギーが不足している状態であれば、エネルギーが作られる反応に向かいます。しかし、エネルギーが十分にある状態だと、クエン酸は、アセチルCoAとオキサロ酢酸に分かれ、アセチルCoAが脂肪酸合成の流れに入っていきます。合成された脂肪酸はグリセロールとくっついて中性脂肪となり、ぜい肉として体内に蓄えられます。

脂質からエネルギーを作る場合は、中性脂肪を脂肪酸に分解してアセチルCoAを合成しクエン酸回路に入りますが、上のように糖質が脂肪酸合成の流れに乗っていると、脂肪酸からアセチルCoAを作る反応は起こりません。さらに糖質を摂取すると血糖値が上がり、すい臓からインスリンが分泌されて血糖値を下げようとしますが、そのインスリンが中性脂肪を分解するホルモン感受性リパーゼの働きを阻害するため、中性脂肪を脂肪酸に分解する反応も起こりにくくなります。

つまり、糖質を食べていると中性脂肪が体に蓄えられていく反応ばかりが起こり痩せにくくなるということです。

人体はどうやってエネルギーを作り出しているのか、そして、どのようにして脂肪を蓄えようとするのか、この2つの関係する仕組みを勉強しておけば、無駄にダイエット商品に手を出さなくなります。勉強するためには、生化学の本を読まなければなりませんが、ダイエット商品を買うより安上がりです。

生化学は、なかなか難しいので、最初に栄養学の本を読むのがおすすめです。その後に生理学の本を読めば、生化学の理解が進みます。勉強するのには時間がかかりますが、急がば回れですよ。

参考文献