食事で、炭水化物(糖質)をたくさん食べると血糖値が上がります。上がった血糖値は、すい臓のβ細胞からインスリンが分泌されて元の状態まで下げられます。
しかし、肥満などを原因として、インスリンが分泌されても血糖値が下がらなくなることがあります。この状態をインスリン抵抗性と言います。インスリン抵抗性があると、すい臓のβ細胞は、血糖値を下げるためにさらに多くのインスリンを分泌します。そすうると、血液の中はインスリンで溢れかえってしまいます。これが高インスリン血症と呼ばれる状態です。
この高インスリン血症は、結構怖い状態なのですが、注意喚起されることがあまりないように思います。
高インスリン血症はガンになりやすい
高インスリン血症の状態は、アルツハイマー、ガン、高血圧のリスクになることが、鬼頭昭三先生と新郷明子先生の共著「アルツハイマー病は『脳の糖尿病』」に書かれています。
インスリンには、血糖値を下げる作用だけでなく、細胞増殖因子として働く増殖作用があり、これがガンになりやすい原因と考えられています。
高インスリン血症の人ががんになりやすいのは、このうちの増殖作用によるもので、これにより、がん細胞が増殖して膵臓がん、肝臓がん、大腸がん、卵巣がん、胃がんの危険性が高くなります。糖尿病の人の中でがんのリスクが高いのは、初期から中期の糖尿病のために血中のインスリン濃度が異常に高い人と、糖尿病がさらに進行して、インスリンの自己注射をしなければならなくなった人です。(94~95ページ)
よく牛肉を食べると大腸ガンになると言われますが、牛肉よりもまずは、高インスリン血症を防ぐことの方が大腸ガン予防には大切でしょう。
ガン細胞は無限に増殖していくのですから、その増殖を助けるインスリンの分泌を抑えるための努力を優先した方が良いと思いますね。
糖質制限で高インスリン血症を防ぐ
血糖値が上がると、インスリンが追加分泌されるのですから、高インスリン血症を防ぐ第1歩は血糖値を上げないことというのは容易に想像できます。
そして、糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素の中で、血糖値を直接上げるのは糖質だけですから、血糖値を上げないためには糖質摂取量を少なくする糖質制限が大事だとわかります。
でも、現在は糖質制限をすすめるお医者さんは少数派です。高インスリン血症が、ガンのリスクとなることがわかっているのに不思議ですね。
インスリンは、糖質摂取時だけでなくタンパク質摂取時にも分泌されます。しかし、糖質摂取時ほどはインスリン分泌量は少ないです。それでも、タンパク質摂取でインスリンが分泌されますから、この事実を知っている人の中には、1日の食事回数を少なくしてインスリン分泌の回数も制限している人がいますね。
糖質とタンパク質の同時摂取は止める
糖質を摂取した時とタンパク質を摂取した時にインスリンが分泌されますが、これらを同時に摂取するとさらにインスリンの分泌量が増加します。
1食の糖質摂取量を20グラム以下に抑えるスーパー糖質制限をしていれば、糖質をほとんど摂取しませんから、糖質とタンパク質の同時摂取によるインスリンの大量分泌は起こりません。でも、1日の食事の中で1食や2食は、白米、パン、麺類を食べる緩い糖質制限をしている方だと、糖質とタンパク質の同時摂取によるインスリンの大量分泌を経験しますから、ガンになるリスクが高まるのではないでしょうか。
もちろん、インスリン抵抗性がなければ、高インスリン血症にはなりません。でも、頻回の糖質摂取でインスリンの追加分泌を何度も経験していると、糖質が中性脂肪となって体に蓄えられていきますから、やがてインスリン抵抗性が惹き起こされる危険があります。
インスリンの無駄撃ちに何のメリットもないです。
高インスリン血症が、ガンのリスクを高めていると考えられているのですから、糖質制限をしてインスリン分泌を減らしておいた方が良いと思うんですけどね。