テレビのCMを見ていると、何らかの健康に良い効果をもたらしてくれそうな食品が宣伝されていることがあります。
人間が生きていくためには、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルを食事から摂取しなければならないので、これらの栄養素が含まれている食品は、健康に良い効果があると言えなくもないです。
最近では、これら必須の栄養素以外の成分が含まれた食品が宣伝されていることが多く、中には、「血糖値を下げる食品」や「血糖値を下げる飲み物」まで登場しています。
糖質を摂取しなければ血糖値は上がらない
血糖値が高い状態が持続する病気は糖尿病です。糖尿病になると、様々な合併症を併発しますから、非常に厄介な病気です。
糖尿病の予防や糖尿病になってからの合併症予防には、食後に血糖値が上がらない食事をすることが大切だとされています。このような理由から、血糖値を下げる食品に注目が集まるのは当然と言えば当然です。
でも、血糖値を下げる食品に手を出す前に血糖値が上がる原因を知ることの方が先だと思います。
血糖値は、糖質を摂取すると上がります。
だから、血糖値を上げないようにするためには、米、パン、麺類、砂糖、根菜など糖質が多く含まれている食品を食べないようにするのが最も効果的です。
したがって、血糖値を下げる努力をするよりも、血糖値を上げないように糖質制限をすることの方が先です。
食品で血糖値が下がるわけがなかろう
食事の中に糖質が含まれていれば、血糖値は上がります。
糖質摂取を控えても、なかなか糖質をゼロにすることはできませんから、食事のたびに血糖値が上がるのは仕方ないです。しかし、糖質制限をすれば、血糖値の上昇幅を低く抑えることができますから、健康に悪い影響を与えるほどの血糖上昇を避けられます。
では、糖質を摂取しても血糖値を下げる食品を食べれば、血糖値は上がらずに済むのでしょうか?
そんなはずはない。
人間の血糖値は、概ね血液1dlあたり80mgから100mgの間で推移しています。
例えば、食事中に血糖値を下げるお茶を飲んだとしましょう。この場合、食事に含まれる糖質が血糖値を上げ、お茶が血糖値を下げることが期待されます。糖尿病の方だと、血糖測定器を使って血糖値の変動を確かめられますから、お茶を飲んで血糖値が下がったかどうかを知ることは可能です。
でも、血糖測定器を持っていなければ、お茶を飲んで血糖値が下がったかどうかを確認できません。結局、ほとんどの人が、お茶に血糖値を下げる効果があるかどうか確かめることはできません。
ただ、血糖値を下げるお茶を飲んで、本当に血糖値が下がるかどうかを確かめる方法がないことはありません。
人間は、血糖値が一定以下に下がると低血糖で倒れてしまいます。食事中に血糖値を下げるお茶を飲んでも、食事に含まれる糖質が血糖値を上げているので、低血糖にはならないでしょう。
では、空腹時に血糖値を下げるお茶だけを飲んだら、どうなるでしょうか?
血糖値が下がるはずですよね。しかも、空腹時は血糖値が低めですから、血糖値を下げるお茶を飲むと低血糖で倒れるはずです。
しかし、血糖値を下げると宣伝している食品や飲料で、低血糖になったというニュースを見たことがありません。それはつまり、血糖値を下げると宣伝しておきながら、血糖値を下げる効果はないということでしょう。
糖質の吸収を抑える食品や飲料も、同じく怪しいです。もしも、糖質の吸収を本当に抑えるのであれば、糖質を食べていないのと同じ状態にするのですから、最初から糖質制限をしていれば、そのような食品や飲料に頼る必要はないはずです。
血糖値を下げる食品や飲料は、その効果が怪しいと思うべきです。
血糖値を下げる成分も過信しない方が良いでしょう。
血糖値を上げたくないなら、糖質制限をするしかないですよ。