最近、ダイエット目的で糖尿病治療薬を使う人が増えているとニュースで見ました。その影響で、糖尿病患者に必要な薬が行き渡らないという弊害が出ているそうです。
ダイエット目的で使われている糖尿病治療薬は、GLP-1受容体作動薬というものです。この薬、一見すると逆に太るのではないかと思うのですが、痩せる効果が期待できるとのこと。
インスリン分泌を促す
GLP-1受容体作動薬は、インスリンの分泌を促進する薬です。
糖質を摂取すると小腸からGLP-1という物質が分泌され、それがすい臓に働きかけてインスリンを分泌させます。インスリンは、血糖値を下げるホルモンです。インスリンが分泌されると、血液中のブドウ糖(血糖)が中性脂肪として脂肪組織に蓄えられます。これにより、血糖値が下がるのですが、その代わり身体の中性脂肪が増えてしまいます。
頻回に糖質を摂取していれば、インスリンの分泌量が増え、それに伴い蓄えられる中性脂肪も増えますから、肥満を防止するためには糖質摂取量を減らすべきとなります。
GLP-1受容体作動薬は、肥満モルモンであるインスリンの分泌を促すので、普通に考えれば痩せ薬にはならないはずです。
それなのになぜダイエット目的で使う人がいるのでしょうか。
食欲を抑える
その理由は、GLP-1受容体作動薬に食欲を抑える効果があるからです。
だから、GLP-1受容体作動薬を肥満の改善のために使う医療機関もあります。ただし、日本では保険適用外です。
食欲を抑えるためにGLP-1受容体作動薬を使う人が増えれば、糖尿病の人に使う分が減るのは当然ですよね。
食べすぎが肥満の原因だと自覚がある人には、糖質制限食がおすすめ。
糖質制限食は、米、パン、麺類、果物、砂糖、イモ類といった糖質を多く含む食品を控え、代わりに肉、卵、魚など、タンパク質と脂質が多く含まれている食品を積極的に食べるものです、京都高雄病院の江部康二先生が、糖尿病の治療食として採用している糖質制限食ですが、実際にやってみると、食欲を抑えられるのがわかります。
あまりに空腹を感じないので、意識的に食事量を増やさないと体重が減りすぎて困るくらいです。肉や卵など、脂質が多いものを食べていると太ると思うでしょうが、脂質を食べてもインスリンは分泌されないので、脂肪組織に中性脂肪が蓄えられていくことはそうそう起こりません。もちろん、食事量が多すぎると太りますが、肥満するほど食べるのは難しいです。
私は、10年以上糖質制限を続けていますが、太ることなんてありません。逆に体重がなかなか増えない方が悩みとも言えます。
GLP-1受容体作動薬を使ってダイエットをしようかと考えている人は、もう一度考え直しましょう。あなたが、その薬を使うことで、糖尿病の人に行き渡らなくなると、合併症になって、目が見えなくなったり、足が壊疽したりする危険があります。
糖質制限をすれば、中性脂肪なんて簡単に減らせるのですから、ダイエットを始めるなら、真っ先に糖質摂取量を減らしましょう。