老化を遅らせたいなら、抗酸化物質を多く摂った方が良いと言われていますよね。
細胞の老化は、体内で発生する活性酸素の仕業だとされていますから、活性酸素を無毒化できる抗酸化物質を体内に入れれば、細胞のダメージを減らせるという理屈です。抗酸化物質として有名なのは、ビタミンA、C、Eです。また、ニンジンに含まれているβカロテンも抗酸化物質として知られています。
アンチエイジングには、これら抗酸化物質を多く摂取することが望ましいと考えられますが、一方で、抗酸化物質の摂りすぎは、ガンになりやすいとの研究結果もあるようです。
βカロテンの摂り過ぎで早死にする?
抗酸化物質の摂り過ぎで、ガンになるとの研究結果を紹介していたのは、PRESIDENT Onlineの以下の記事です。
なかなか衝撃的なタイトルです。抗酸化サプリを日常的に摂取している人だと、不安になりますね。
記事によると、肺ガンリスクの高い3万人を無作為に以下の4グループに分けて実験したそうです。
- βカロテンを与えたグループ
- ビタミンEを与えたグループ
- βカロテンとビタミンEを与えたグループ
- プラセボ(偽薬)を与えたグループ
そして、実験結果はというと、抗酸化サプリを与えたグループは、プラセボを与えたグループより肺ガンを発症した人が多く、肺ガンと心臓病による合計死者数も多くなったようです。具体的な人数は書かれていないので、抗酸化サプリのグループが、どれくらい肺ガンになったのかはわかりません。
また、肺ガンリスクの高い1万8千人を2つのグループに分け、片方にはβカロテンとビタミンAを与え、もう片方にはプラセボを与えた実験も紹介されていました。こちらは、抗酸化サプリを飲んだグループは、肺ガンで死亡するリスクが46%と高く、そのほかの要因で亡くなるリスクも17%あったそうです。
どちらの実験も、抗酸化サプリを飲んだ方が肺ガンになりやすいという結果です。
しかし、これだけの情報では、よくわからないですね。
カロテノイドの摂取量が多いと肺ガン発症率は低くなる
そこで、厚生労働省の以下のPDFを読んでみることに。
122ページに「世界の代表的なコホート研究のデータをまとめた解析によると、各種カロテノイドの摂取量と肺がん発症率とのあいだに有意な負の関連が示唆されている」と記載されていました。βカロテンもカロテノイドの一種なので、たくさん摂取するほど肺ガンの発症が抑えられると考えられます。
しかし、βカロテンをサプリメントで大量に摂取させた介入試験では、ガン(とくに肺ガン)の予防に対して無効か、有害になる場合もあるとも記載されています。
こちらの資料も、あまり詳しいことは書かれていませんね。
βカロテンの何が良くないのか知りたいのですが。
先ほどのPRESIDENT Onlineの記事では、肺ガンリスクの高い人たちで実験したとのことだったので、βカロテンの摂取の有無は関係ないような気もします。また、被験者は、他に何を食べていたのか、どのような生活習慣だったのかもわかりません。
結局、βカロテンが、ガンを予防するのか、発症を促進するのか、よくわかりませんでした。