冬になると、必ず聞くのが「冬はダイエットに適した季節」という言葉です。
冬は体温を上げるために多くの脂肪を燃焼するから、消費カロリーが増え、痩せやすくなるというのがその理屈です。冬に消費カロリーが増えているのをどう確かめるかというと、吐き出す二酸化炭素の量を計測するのです。ヒトが酸素を吸うのはエネルギーを作るためであり、エネルギーを作った後は、二酸化炭素を吐き出します。
だから、吐き出す二酸化炭素の量が多いほど、多くの脂肪を燃焼したと言えます。そして、冬は、多くの二酸化炭素を吐き出すので、脂肪を燃焼している証拠だとされます。
もっともらしい理屈ですけど、冬にどんどん痩せていく人を見ることなんて滅多にありません。理屈がまちがっていると疑うべきでしょう。
水はどこに行くのか
ヒトが、ブドウ糖や脂肪酸からエネルギーを作る過程では、二酸化炭素の他に水も発生します。
体内で作られるエネルギーが多ければ、二酸化炭素とともに水も、体外に多く捨てられなければなりません。
冬に吐き出す二酸化炭素の量が増えるのなら、外に捨てる水も増えていないとおかしいですよね。でも、冬は体外に捨てる水の量が増えると言う人を見たことがありません。
夏の方が、汗をたくさんかくんだから、痩せやすいのは夏だという主張が出てきても良さそうなものですが、誰も言わないのが不思議です。
冬に痩せない理由はいろいろ作られていく
ダイエットの専門家たちが、冬に痩せない人がいることに対しては、いろんな理由を並べてきます。
- 忘年会や新年会などのイベントで摂取カロリーが増える
- 冬は暖房を使うので、室内にいると脂肪が燃焼しにくくなる
- おいしいものをたくさん食べる
- 寒くて動かなくなる
確かに食べすぎや運動不足は、太りやすくなりますけど、そんなことを言ったら、夏だって暑いから運動しなくなりますし、冷房がきいた部屋でおいしいものを食べていれば太りますよ。
冬は暖房を使うから太るなんて言うのは、なんなんでしょうね。
そもそも、冬に体温を上げるために際限なく脂肪を燃焼するのなら、寒さなんて感じないでしょう。それと、冬は、熱を外に逃がさないために末端の血流を抑制し、体の中心に熱を維持すると言われています。
これ、矛盾してないですか?
冬に体温を上げるためにたくさんの脂肪を燃焼できるのなら、末端の血流を抑えて熱を外に逃がさないようにする必要はないですよね。上げられる体温には限界があるから、末端の血流を抑えているのではないでしょうか。
エネルギーがどのようにして作られるのかを勉強しよう
そもそも、脂肪が燃焼するなんて言う人の言葉を信じてはいけません。体内で脂肪は燃焼しません。もちろん、糖も燃焼しません。
このような言葉に騙されないためには、体内で、どのようにしてエネルギーが作られるのかを知る必要があります。そのためには、生化学の本を読んで勉強しなければなりません。
生化学の入門書としておすすめなのは、大平万里先生の『「代謝」がわかれば身体がわかる 』です。この本は、一般向けにたとえ話を交えながら、体内でエネルギーが作られる仕組みをわかりやすく解説しています。
冬は痩せやすい季節だと信じている人に読んで欲しいですね。