普段の食事で、米、パン、麺類など炭水化物(糖質)が多く含まれている食品を控える糖質制限をしていると、薄味で満足できるようになると言われています。私も、糖質制限を始めてから、食べ物に調味料をかけることが少なくなりました。
ソースや醤油にも糖質が含まれているので、使わないように心掛けている点はあるのですが、肉や魚にソースや醤油をかけると味が濃くなりすぎて食べにくくなるのが主な理由です。最近では、肉類や魚の刺身には、アオサ粉を振り掛けて食べています。これだけで味付けは十分ですし、何もかけなくても美味しく食べれています。
味覚を感じるのは味蕾細胞が正常だから
糖質制限で薄味を好むようになるのは、味のしない米やパンと一緒におかずを食べなくなるからだと言われることが多いです。これは一理あると思います。濃い味付けのおかずも、味のしない米や食パンと一緒に食べれば薄まりますからね。
あと、以前に以下の過去記事で書きましたが、タンパク質摂取を増やすと薄い味でも満足できるようになるというラットの実験がありますから、低糖質高タンパクな食事を続けていくうちに薄味になれてくる可能性があります。
ただ、米やパンと一緒におかずを食べないから薄味になるというのは個人的な嗜好の問題なので、糖質制限をしている人全員に当てはまるとは言えないでしょう。また、ラットの実験をそのまま人間に当てはめることもできませんから、低糖質高タンパクな食事で本当に薄味を好むようになるかもわかりません。
そもそも、食べ物の味を感じるのは、舌にある味蕾細胞(みらいさいぼう)のおかげです。したがって、味蕾細胞に異常があれば味覚を感じ取ることができないので、どんなに糖質制限をしても薄い味を感じ取ることはできません。
つまり、薄い味付けでも、しっかりと味を感じるのは、味蕾細胞が正常に働いてくれているからなんですね。
亜鉛不足が味覚異常を起こす
味蕾細胞が正常に働くためには、味蕾細胞の新陳代謝が問題なく行われている必要があります。
味蕾細胞の新陳代謝に深くかかわっている栄養素は亜鉛です。したがって、日頃から亜鉛をしっかりと摂取していれば味覚異常を予防できます。栄養学博士の川島由起子先生監修の「カラー図解 栄養学の基本がわかる事典」に亜鉛と味覚の関係について簡単に説明されているので紹介しておきます。
亜鉛は味覚を正常に保つという重要な働きも担います。人間は舌の表面に約9000個ある味蕾と呼ばれる組織で味覚を感じ取っています。味蕾細胞は約1か月という短いサイクルでつくり替えられますが、新陳代謝に亜鉛が関与しているため、亜鉛不足が続くと味蕾が正常に維持されず、味覚異常が起こります。(168~169ページ)
亜鉛が多く含まれている代表的な食品は、海のカキです。100グラム当たりで13.2mgの亜鉛含有量です。成人男性の1日当たり亜鉛の摂取推奨量が10mg、女性で8mgですから、カキの亜鉛含有量はかなり多いですね。また、牛肉も100グラム当たりで、部位によりますが、5mg前後の亜鉛を摂取できます。レバーも亜鉛含有量が多いですね。
他に卵や魚介類も亜鉛が比較的多く含まれています。糖質制限をすると、肉類、卵、魚介類を多く食べるようになるので、亜鉛摂取量は高糖質食に比べると格段に多くなります。
糖質制限をすると、薄味でも満足できるのは、炭水化物主体の食事よりも多くの亜鉛を補給できて、味蕾細胞の新陳代謝が活発になるからだと思います。
早い話が、米や麦ばかり食べていると亜鉛の摂取量が減って、味覚がおかしくなるということです。ウェブ上で、糖質制限すると亜鉛不足になるという情報をたまに見ますが意味不明。