肉を食べても太らない

先日、あるテレビ番組を見ていると、元フィギュアスケート選手の鈴木明子さんが出演されていました。

その番組で、鈴木明子さんは、拒食症になった経験を語っていました。フィギュアスケートの選手は、体重管理をしなければならないので、食べるものが制限されます。10代の頃の鈴木明子さんは、体重増加を抑えるために肉を控えていたそうです。でも、肉を控える食生活を続けているうちに体が痩せ細ってきて、しばらくの期間、フィギュアスケートの練習をできない状態になったと語っていました。

肉を食べないとエネルギーを生み出せない

鈴木明子さんと同じように肉食は太ると思っている人は多いです。肉には、脂質が多く含まれていますから、食べると脂肪が体に蓄積しやすいと考えているのでしょう。

しかし、肉を食べないと、体の中でアデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれるエネルギーを作り出すための栄養素の補給が難しくなります。ATPを作るためには、糖質や脂質の他にビタミンB群や鉄が必要です。

肉、特に赤身の部分には、鉄が多く含まれていますし、ビタミンB群も豊富です。一方、米には、ビタミンB群も鉄もわずかな量しか含まれていません。したがって、肉を食べずに米中心の食生活を続けることは、慢性的なビタミンB群不足と鉄不足を引き起こすので、ATPを体の中で作れなくなってしまいます。

当然、糖質摂取や脂質摂取で蓄積した体の脂肪は、ATP産生に利用されませんから太りやすくなります。たくさんのATPを生み出すためには、肉食が重要なのです。

糖質を摂取しなければ脂肪の分解が進む

炭水化物(糖質)を摂取すると、体に蓄えた中性脂肪の分解がストップします。一方、糖質を摂取しなければ、中性脂肪の分解が進みます。中性脂肪は、グリセロール1個に脂肪酸3個がくっついたものです。中性脂肪が分解されると、脂肪酸からATPが合成されます。

したがって、中性脂肪を減らそうと思ったら、中性脂肪の分解をストップさせないことが大切です。そして、それを可能とするのが糖質制限です。詳しいことは以下の記事に書いてますが、簡単に言うと、糖質摂取を控えることで、脂肪酸ダダ漏れ状態を作り出せるのです。

脂肪酸ダダ漏れ状態になっても、ビタミンB群や鉄が不足していればATPを作れません。でも、肉中心食であれば、ビタミンB群も鉄も多く摂取できるので、脂肪酸をエネルギー利用しやすくなります。女性は月経があるので鉄不足になりやすいですから、男性よりも多くの鉄を摂取する必要があります。

肥満の原因は、日頃、口にしている米やパンなどの炭水化物が多く含まれている食品なのですが、鈴木明子さんが10代だった頃は、まだ糖質制限の認知度が低く、太る原因は肉食だと思われていました。

糖質が太る原因だと、もっと知られるようになれば、肥満に悩む人が減るでしょうし、拒食症の予防にもなると思います。でも、まだまだ糖質制限に理解を示す人は少数派ですから、肉食は太りやすいという情報が誤りだと多くの人に認知されるには時間がかかりそうですね。