エネルギー論一覧

絶食期間が長くなるとタンパク質が分解されにくくなる

生物の細胞はタンパク質でできています。だから、普段の食事でタンパク質をしっかりと摂取しておかないと、元気な細胞を作れなくなることは容易に想像できます。

人間の細胞も、もちろんタンパク質でできています。体重が60kgほどの人なら、1日に200グラムのタンパク質が分解され、そのうち60グラムが捨てられ、140グラムがタンパク質の再合成に回るとされています。

したがって、現在の体を維持しようと思ったら、毎日捨てられるタンパク質と同量以上のタンパク質の摂取が必要と考えられます。60kgの人なら、毎日60グラムのタンパク質が捨てられるので60グラム以上はタンパク質を摂取しなければならない計算ですね。

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分解した体タンパク質も摂取タンパク質もいったんアミノ酸プールに集められる

タンパク質は、20種類のアミノ酸で作られています。このうち9種類のアミノ酸は、人間が必ず食事から摂取しなければならない必須アミノ酸です。タンパク質は、体作りに欠かせませんから、必須アミノ酸をしっかりと食事から摂取しておく必要があります。

一方、体タンパク質は、体の中で分解されてアミノ酸となり、再び体タンパク質の合成に使われます。つまり、体タンパク質はリサイクル利用されているわけです。しかし、体タンパク質は全てをリサイクルできませんから、リサイクルできなかったタンパク質は食事から補給しなければなりません。

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細胞死にはネクローシスとアポトーシスがある

人間の体は、無数の細胞で構成されています。そして、人間に死があるように細胞にも死があります。

人間の死には、自らの意思とは関係なく事故や病気によって死ぬ場合と自ら死を選ぶ自殺がありますが、細胞死も同じです。自らの意思とは関係なく死ぬことをネクローシス、自殺することをアポトーシスと言います。

ネクローシスによる細胞死は、こけた時に膝をすりむくとか、病原体に感染するとかして起こります。何らかの要因で細胞が壊されるのがネクローシスですね。一方のアポトーシスは、勝手に細胞が死んでしまいます。なんで細胞は自殺するんでしょうね。

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無酸素下で運動をする場合は乳酸発酵が行われる

人間の細胞は、グルコース(ブドウ糖)からアデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれるエネルギーを獲得する場合、まず細胞質内の解糖系でグルコースからピルビン酸を作ります。

ピルビン酸は、酸素が十分に供給されている場合は、ミトコンドリアに送られて大量のATP産生の材料となります。しかし、酸素が十分にない状況だとピルビン酸は発酵され乳酸となります。

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解糖系でのエネルギー産生は高い場所から大きな石を落とす感じ

人間は、アデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれるエネルギーを体内で作って活動をしています。

歩いたり、走ったりする時にATPが必要になるのはもちろんのこと、心臓などの臓器が働く際にもATPが必要になります。

人間の体の中には、解糖系とミトコンドリアの2つの発電所があり、主にこの2ヶ所でATP産生が行われています。今回は、解糖系でのATP産生がどのように行われているのかを見ていきましょう。

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冬眠中のクマはインスリン抵抗性が高まる

アミノ酸(タンパク質)やブドウ糖を細胞に取り込ませるためにすい臓のβ細胞から分泌されるのが、インスリンと呼ばれるホルモンです。

インスリンは、細胞がアミノ酸やブドウ糖を取り込むために重要なホルモンですから分泌量が減ると困ります。インスリンの分泌量が減ると血液中のブドウ糖(血糖)が溢れかえった状態になります。このような高血糖状態が続くのが糖尿病ですね。高血糖状態の持続は、インスリンの分泌量が減るだけでなく、細胞が血糖の取り込みを拒否するインスリン抵抗性が高くなった場合にも起こります。

インスリン分泌能の低下もインスリン抵抗性も、高血糖という結果をもたらしますが、両者は別々に考えなければならないと思うんですよね。今回は、インスリン抵抗性について興味深いことがわかったので紹介します。

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タンパク質が体作りに使われることをカロリー計算は無視している

カロリー計算をする場合、糖質とタンパク質は4kcal/g、脂質は9kcal/gとするアトウォーター係数を使用します。

アトウォーター係数は、20世紀初頭に考案された方法で、糖質、脂質、タンパク質が持つ物理的燃焼値を消化吸収率や生体内で燃焼できない分を考慮して導き出したものとされています。ちなみに糖質、脂質、タンパク質の1グラム当たりの物理的燃焼値は以下の通りです。

  • 糖質=4.10kcal
  • 脂質=9.45kcal
  • タンパク質=5.65kcal

アトウォーター係数は、食べた糖質、脂質、タンパク質がエネルギー利用されることを前提としています。でも、タンパク質や脂質は体作りの材料としても使われますから、食べた全量がエネルギー利用されるわけではありません。

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ヒトも含めて哺乳類の血糖値は似たり寄ったり

人間も含めて哺乳類の血液中には、ブドウ糖が含まれています。そして、血液中のブドウ糖のことを血糖と言います。

ヒトの血糖値は、空腹時で100ml(1dl)当たりに約70mgから100mg含まれています。そして、ざっくり言うと、この範囲よりも血糖値が高いと高血糖、低いと低血糖となります。

血糖値を下げることができず高血糖が持続している状態だと、病院で糖尿病と診断されます。また、血糖値が低すぎると体の中の細胞が働けなくなりますから、低血糖は非常に危険な状態です。だから、「低血糖にならないように糖質をしっかりと補給しましょう」と言われているんですね。

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カロリー理論は仮説でしかない

何をするにしても指標や基準があった方が便利です。

例えば、高校受験や大学受験では、偏差値が指標とされることがありますね。目標とする高校や大学に合格するためには、他の受験生と比較してどれくらいの学力が必要かを数値で知ることができます。偏差値で人の価値が決まるわけではありませんが、合格という目標を達成するための指標としては役立ちます。

ダイエットの場合だと、現代ではカロリー収支が一つの指標とされています。むしろ、カロリー至上主義といった方が良いくらいカロリー理論が正しいと思っている人がとても多いです。でも、カロリー理論は仮説でしかないんですよね。

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インスリン分泌が保たれていない状況では血糖量とケトン体濃度はどうなるんだろう

すい臓のβ細胞から分泌されるインスリンは、肥満ホルモンと呼ばれることがあります。インスリンが分泌されると、血糖(ブドウ糖)が脂肪組織に取り込まれて、中性脂肪として蓄えられるのがその由来です。

それなら、インスリンが分泌されなければ肥満にならずに済むのですが、インスリンがなければ上がった血糖値を下げることができなくなるので、高血糖の状態が持続してしまいます。インスリン分泌が保たれていない状態が糖尿病と呼ばれる病気ですから、人間にとってインスリンは必要なものだということがわかります。

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